COLUMN

実家が会社をやっている人だけが抱える”もやもや”の正体と向き合い方

「実家、継ぐの?」と聞かれると答えに詰まる。親の会社の話題になると、少しだけ空気が重くなる——。実家が会社を経営している人には、そんな”もやもや”を抱えたまま日常を送っている方が少なくありません。この記事では、そのもやもやの正体を言語化し、今日からできる小さな一歩を家族目線でご紹介します。

なぜ”もやもや”するのか——実家が会社の人だけの事情

会社員の家庭で育った友人には、なかなか伝わらない感覚があります。親戚の集まりで「継ぐの?」と聞かれる居心地の悪さ。親の年齢を意識するたびによぎる不安。従業員さんやお客様の顔が浮かんで、簡単には割り切れない気持ち。実家が会社をやっている人の”もやもや”は、自分の進路、お金、家族関係、地域とのつながりが一枚の絵のように絡み合って生まれます。だからこそ「考えるのが面倒」なのではなく、「どこから考えればいいか分からない」のが実態です。まずはその複雑さを認めることが、向き合うための出発点になります。

データが示す、先送りのリスク

帝国データバンクの「全国企業『後継者不在率』動向調査」(2024年)によると、国内企業の後継者不在率は約52%。おおよそ2社に1社は、後継者が決まっていない状態です。また、中小企業庁の「中小企業白書」(2023年版)では、経営者の平均引退年齢は70歳前後とされています。さらに日本政策金融公庫総合研究所の調査(2016年)では、60歳以上の経営者の約半数が「自分の代で廃業する予定」と回答しています。家族が何も話さないまま時間が経つと、「気づいたときには選択肢が減っていた」という事態は現実に起こり得ます。もやもやを放置しない方がよいことには、データの裏付けがあるのです。加えて、事業承継には株式や許認可、経営者保証の引き継ぎなど時間のかかる準備が多く、中小企業庁の「事業承継ガイドライン」でも、準備には5年から10年程度を要するケースがあるとされています。「まだ早い」と感じる今こそ、実は考え始めるのにちょうどよい時期なのです。

もやもやの正体を分解する3つの問い

漠然とした不安は、問いに分けると扱いやすくなります。おすすめは次の3つです。1つ目は「自分は関わりたいのか、関わりたくないのか」。継ぐかどうかを決める前に、まず気持ちの向きを確かめる問いです。2つ目は「親は本当はどうしたいのか」。実は親自身も決めかねているケースが多く、聞いてみると見える景色が変わります。3つ目は「時間の猶予はどれくらいあるか」。親の年齢や健康、会社の状況から逆算する問いです。この3つに”仮の答え”を書き出すだけでも、もやもやはかなり軽くなります。今すぐ正解を出す必要はありません。

「話せる相手がいない」が、一番つらい

もやもやを深くするのは、話せる相手の少なさです。友人に話しても「実家が会社ってすごいね」で終わってしまう。配偶者に話すと心配をかけてしまいそうで言い出せない。きょうだいとは、なんとなくこの話題を避けている——。こうして一人で抱え込むうちに、もやもやは「考えないようにする」へと変わっていきます。しかし、事業承継の悩みは本来、一人で答えを出すものではありません。同じ立場の人の体験談に触れたり、利害関係のない第三者に話してみたりするだけでも、気持ちの整理は大きく進みます。まずは「話してもいい悩みなのだ」と知ることが大切です。

家族目線でできる、小さな最初の一歩

事業承継は「経営の問題」である前に「家族の問題」です。親と対立するのではなく、協働する姿勢で小さく始めてみましょう。たとえば、帰省のタイミングで会社の創業当時の話を聞いてみる。親の健康診断の結果を共有してもらう。きょうだいに「実はちょっと気になってる」と打ち明けてみる——どれも今日からできることです。いきなり「会社、どうするの?」と迫る必要はありません。家族目線で少しずつ話せる土壌をつくることが、結果的に会社と家族の両方を守ることにつながります。

“もやもや”は、考え始めるサイン

実家が会社をやっている人だけが抱えるもやもやは、裏を返せば、家族と会社の未来を考え始めるサインでもあります。つぐひとでは、ご家族向けに「家族のための事業承継ハンドブック」(無料PDF)を公開しているほか、LINEの友だち追加でちょっとした疑問も気軽に相談できます。じっくり話したい方は無料相談フォームへ。ご自身の立場に合わせた情報は家族の方向けページもご覧ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。税務・法務・経営に関する具体的な判断は、税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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本記事は、株式会社C&Cが運営する事業承継メディア「つぐひと」が独自に作成したものです。
具体的な税務・法務判断は、必ず弁護士・税理士・M&Aアドバイザー等の専門家にご相談ください。

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