COLUMN

顧問税理士に事業承継を相談する前に|家族が準備すべき5つのこと

親の会社の事業承継について、最初に誰へ相談すればよいのか分からない——多くのご家族がここで足を止めてしまいます。実は、最も身近な専門家のひとりが「顧問税理士」です。ただし、準備のないまま相談すると「何から話せばいいのか分からない」まま時間切れになることも。本記事では、相談前に家族で準備しておきたいことを整理します。

なぜ最初の相談相手として顧問税理士が有力なのか

顧問税理士は、毎年の決算や申告を通じて会社の数字を最も長く見てきた外部の専門家です。自社株の評価や相続税の試算など、事業承継のお金まわりの論点と地続きの仕事をしているため、現状把握の入口として適しています。中小企業庁「中小企業白書」(2024年版)でも、事業承継において顧問税理士をはじめとする士業が身近な相談相手として重要な役割を担うことが示されています。また、帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査」(2024年)によれば、国内企業の後継者不在率は約52%。半数以上の会社が後継者を決められていない今、「まだ何も決まっていないから相談できない」と構える必要はありません。決まっていないからこそ、数字を知る専門家と早めに現状を共有することが第一歩になります。

相談前に家族で揃えておきたい5つの資料

手ぶらでも話は聞いてもらえますが、資料が揃っているだけで初回相談の密度は大きく変わります。準備したいのは次の5つです。(1)直近3期分の決算書、(2)株主名簿(誰が何株持っているか)、(3)定款、(4)借入金と経営者保証の状況が分かる資料、(5)経営者である親の意向メモ。特に(5)は見落とされがちですが、「いつ頃引退したいのか」「会社を残したいのか」といった親の想いを一度言葉にしておくと、税理士も具体的な選択肢を示しやすくなります。すべてが完璧に揃わなくても構いません。「ここが分からない」という穴が見つかること自体が、相談の大きな収穫です。

家族会議で「方向性の仮説」を持っておく

事業承継の選択肢は、大きく分けて「親族が継ぐ」「従業員などが継ぐ」「第三者に譲る(M&A)」「計画的に畳む」の4つです。相談前の家族会議で、それぞれに対する家族の温度感を話し合っておきましょう。結論を出す必要はありません。「兄は継ぐ気がなさそう」「母は会社を残したがっている」といった現在地を共有するだけで十分です。日本政策金融公庫総合研究所の調査(2023年)でも、後継者が決まらないまま廃業を視野に入れる中小企業が相当数にのぼることが報告されています。放っておくと選択肢は狭まっていくからこそ、家族目線で「うちはどうしたいのか」の仮説を持って専門家の前に座ることが、対立ではなく協働の承継につながります。

税理士に聞くべきこと、税理士だけでは足りないこと

初回相談で聞いておきたいのは、(1)自社株の評価額はいくらか、(2)相続税・贈与税はどの程度かかりそうか、(3)事業承継税制などの制度は使えそうか、の3点です。これらは顧問税理士の得意領域であり、具体的な数字が出るだけで家族の議論は一気に現実的になります。一方で、後継者探しやM&Aの相手探し、家族間の合意形成といったテーマは、税理士だけでは完結しないことも多い領域です。必要に応じて、国が各都道府県に設置する事業承継・引継ぎ支援センターや、承継に詳しい他の専門家の意見も組み合わせていきましょう。顧問税理士を起点にしつつ、テーマごとに頼る先を広げるのが現実的な進め方です。

切り出し方のコツと、相談時の注意点

顧問税理士は「会社の相談相手」であって、家族が直接話したことのないケースも珍しくありません。その場合は、親を通じて「一度、承継のことを家族も交えて相談したい」と伝えるのが自然です。親に切り出しにくい時は、決算のタイミングなど会社の数字が話題になる時期を選ぶと、話が前に進みやすくなります。注意したいのは、親の頭越しに話を進めないこと。家族が先回りして専門家と話を固めてしまうと、親は「会社を取り上げられる」と感じてしまうことがあります。あくまで主役は経営者である親。家族は伴走者として、相談の場を整える役割に徹することが、結果的に一番の近道になります。

まずは家族の30分の準備から

資料を集め、家族で仮説を話し合い、聞くことを決めておく——この準備があるだけで、顧問税理士への相談は「何となく不安を話す場」から「次の一手が決まる場」に変わります。つぐひとでは、家族の立場から事業承継に向き合う方のための無料相談を行っています。家族のための事業承継ハンドブック(無料PDF)で全体像をつかんでいただくのもおすすめです。日々の疑問はLINEの友だち追加から気軽にご相談ください。じっくり話したい方は無料相談フォームへ。ご自身の立場に合わせた情報はご家族の方向け経営者の方向け後継者の方向けのページもご覧ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。税務・法務など具体的な判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。

関連記事


本記事は、株式会社C&Cが運営する事業承継メディア「つぐひと」が独自に作成したものです。
具体的な税務・法務判断は、必ず弁護士・税理士・M&Aアドバイザー等の専門家にご相談ください。

CONTACT

家族で、相談したい方へ。

つぐひとでは、無料で事業承継のご相談を承っています。

無料で相談する
💬 LINEで匿名相談 30秒・家族に知られない