「事業承継税制の特例って、もう期限が過ぎてしまったの?」という声をご家族からよくいただきます。実は2026年の税制改正により、特例承継計画の提出期限が延長されました。ただし、贈与・相続の実行期限は変わっていません。混乱しやすいポイントを整理しながら、家族として今何をすべきかをお伝えします。
法人版事業承継税制「特例措置」とは
法人版事業承継税制の特例措置とは、非上場株式を後継者に贈与・相続する際の贈与税・相続税が最大100%猶予される制度です(中小企業庁)。通常の一般措置(最大3分の2の株式が対象)よりも大幅に有利な内容で、中小企業の円滑な世代交代を後押しするために2018年(平成30年)度の税制改正で導入されました。
帝国データバンクの調査(2024年)によると、後継者問題を抱える中小企業の経営者のうち、事業承継税制の特例措置を「知らない」または「よく分からない」と答えた割合は依然として5割を超えています。制度の恩恵を受けるためには、まず期限と要件を正確に把握することが第一歩です。
2026年改正で何が変わったか:期限の整理
令和8年度(2026年度)税制改正大綱により、以下のとおり期限が変更されました。
① 法人版:特例承継計画の提出期限が延長
かつては2026年3月31日が期限でしたが、2027年(令和9年)9月30日まで延長されました。特例承継計画とは、「誰が・いつ・どのように会社を引き継ぐか」を記した書類で、認定支援機関(税理士・公認会計士など)の確認を得て、都道府県知事に提出するものです。
② 贈与・相続の実行期限は延長されていない
注意が必要なのは、実際に株式を贈与または相続で引き継ぐ期限は2027年12月31日のまま変わっていない点です。計画の提出に猶予ができても、承継の実行は2027年末までに終わらせなければなりません。
つまり計画提出→都道府県の確認→承継実行→税務署への申告という一連の流れを、2027年12月31日に向けて逆算して進める必要があります。準備には2〜3か月かかるケースが多いため、今から動き出すことが重要です。
③ 個人版の提出期限も延長
個人事業主を対象とした個人版事業承継税制(個人事業承継計画)については、提出期限が2028年(令和10年)9月30日まで延長されました。
特例措置を受けるための主な要件
特例措置の適用には、先代経営者(贈与者・被相続人)と後継者(受贈者・相続人)の双方について複数の要件を満たす必要があります。主な要件は以下のとおりです。
- 会社の要件:中小企業者に該当する非上場会社であること
- 先代経営者の要件:会社の代表者であった、かつ贈与・相続前に代表を退任(贈与の場合)すること
- 後継者の要件:贈与の場合は20歳以上で会社の役員(18歳以上で役員就任後3年以上)、相続の場合は相続開始から5か月以内に代表に就任すること
- 担保提供:猶予税額に見合う担保(対象株式そのものが一般的)を税務署に提供すること
- 毎年の継続届出:承継後5年間は雇用維持・代表者変動などを年次報告し、5年経過後も3年ごとに届出が必要
特に「雇用維持要件」については、承継後5年間の平均で元従業員数の8割を維持することが原則ですが、維持できない場合でも理由を記載することで猶予継続が認められるケースがあります。詳細は認定支援機関に確認しましょう。
家族として知っておくべき「落とし穴」
家族目線で見落としやすいポイントが3つあります。
まず、計画提出は「相談→書類作成→提出」とステップがあるため、期限直前では間に合わないことです。認定支援機関を探し、資料を揃え、都道府県への申請を経るまでに最低2〜3か月はみておきましょう。
次に、猶予はあくまで「猶予」であることです。要件から外れた場合(代表交代・廃業・株式の譲渡など)は猶予が打ち切られ、猶予税額と利子税をまとめて納付しなければなりません。後継者になる子どもや配偶者が、この「リスク」を正しく理解した上で承継を決断することが大切です。
最後に、申告期限を1日でも過ぎると適用が受けられない点。税務手続きには期日厳守が求められます。税理士と連携し、スケジュールを家族全員で共有しておきましょう。
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本記事は情報提供を目的としており、具体的な申請・税務判断は税理士・中小企業診断士などの専門家にご相談ください。制度内容は変更になる場合があります。
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本記事は、株式会社C&Cが運営する事業承継メディア「つぐひと」が独自に作成したものです。
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